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第1 事案概要
1 本件発明
本件発明は、CD/CD-R/CD-RW・MD・DVD/DVD-R/DVD-RWなどの光ディスクドライブにおいて、それらの光ディスク媒体上の情報を半導体レーザを用いて高精度で読み出す技術に関する発明である。この技術は、代替技術のない不可避な特許として世界中で実施されている。
なお、本件発明は、本件訴訟以前に、「東京都知事発明奨励賞」、「地方発明奨励賞」といった公の表彰を受けた他、日立自身からも、本件発明について、代替技術がない「戦略特許」として金賞の表彰を受けた。
2 訴訟の経緯
本件訴訟は、平成10年に東京地方裁判所に提起され、平成14年11月29日に地裁判決が出された。地裁判決では、本件発明に対する相当対価は、3474万円と判断された。
同地裁判決に対して、原告被告双方が控訴し、東京高裁は、平成16年1月29日に、同相当対価は、1億6284万6300円とする判決を下した。
同高裁判決に対して、日立製作所が、最高裁に上告及び上告受理申立を行った。
今日の判決で取り上げられた外国で特許を受ける権利に関する特許法35条の適用の有無以外の論点については、既に上告受理申立不受理が確定していた。
第2 本最高裁判決の意義
1 外国で特許を受ける権利にも特許法35条の類推適用を認めた点
既に多くの企業で、外国特許により得た独占的利益(ロイヤリティ等)についても発明者に対して補償金を支払っているのが実務であるが、当該実務が最高裁判決により裏付けられたことは、発明者にとって非常に有利と考える。
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2 ロイヤリティの支払を伴わない包括的クロスライセンス契約について相当対価の支払を認めた点
ロイヤリティの支払を伴わない包括的クロスライセンス契約は、大手電機メーカー等の間で締結されるケースが多いと思われる。
このケースの場合、具合的な金銭の受領がない為、一見、職務発明に係る特許の経済的価値が認められず、相当対価を支払う必要がないかのように思われかねない。現に、多くの企業では、このようなケースに発明者に対して補償金等を支払っていないものと思われる。
しかし、本最高裁判決は、かかるケースは、企業がお互いに本来支払うべきロイヤリティを相殺しているに過ぎず、発明者は、当該ロイヤリティを合理的に算定した上で、その分も含めて相当対価請求できるものとした高裁判決を追認するものと解される。
従って、本最高裁判決のインパクトは極めて大きいと考える。
3 発明者の貢献度20%を認めた点
本最高裁判決は、本件高裁判決で、発明者の貢献度を20%とした判断を追認したものと解される。
発明者の貢献度20%というのは、比較的高い貢献度を認めた事例と評価できる。
4 全共同発明者に対して総額2億3250万円超の相当対価を認めた点
本件発明は、発明者2名によるものであり、高裁判決は、米澤氏の貢献度を70%、他の共同発明者1名の貢献度を30%と認めた。
そこから逆算するに、本最高裁判決により、本件発明の全共同発明者に対して、総額1億6284万6300円÷0.7=約2億3250万円超の相当対価の支払を認めたものである。
これらの相当対価額は、中村修二教授による青色LED特許に関する相当対価8億4000万円超の支払を認めた和解に次ぐ、史上2番目に高額の相当対価額である。又、判決として確定した金額としては、史上最高額である。
第3 本最高裁判決についての代理人のコメント
本最高裁判決は、上記第2の意義等を有しており、発明者有利の判決が最終審である最高裁において示されたことは、発明者に対するインセンティブという点での我が国の知的財産権政策に大きな影響を与えるものであると考える。
本最高裁判決により、産業的価値の高い発明をすれば、数億円レベルの相当対価を受領できることが認められた。本件発明は、日立社内でも高い評価を得た特許であるが、このような産業的価値の高い特許発明は、我が国の各大手企業において少なくとも数件程度は存在しているものと思われる。従って、本最高裁判決の趣旨を踏まえれば、我が国では、数億円レベルの報酬を得られる技術者が多数輩出されることが期待され、一般の発明者にとっては大きな励みになると思われる。
最終準備書面(複数の準備書面をまとめました)
【判 決 書】 → 地裁判決(最高裁HP 知的財産権判決集)・高裁判決(最高裁HP 知的財産権判決集)・最高裁判(最高裁HP 知的財産権判決集) |