|
事件の概要
■世間の注目を浴びる裁判■
平成13年8月23日、青色発光ダイオード(青色LED)の開発者として知られるカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授が、この技術の開発当時勤務していた日亜化学工業を相手に訴えを提起した。このニュースは新聞、
経済雑誌、TV等に大きく取り上げられ、世間の大きな注目を浴びている。
■事件の概要■
中村修二教授は、日亜化学に対し、青色LEDの製造において極めて重要な製造装置に関する特許に関して、(1)開発者である自分に特許権が帰属する
ことを主張し、不当利得として1億円の支払いを求め、さらに、(2)仮に特許権が開発当時の使用者である日亜化学に帰属するとしても、「相当の対価」
(特許法35条3項)が支払わなければならない、として20億円の支払を求めている。(いずれの請求も権利の一部についての請求…一部請求…である。)
■何故これほどの注目を集めているのか■
(1) 青色発光ダイオード(青色LED)の市場価値
発光ダイオード(LED)は従来の電球に比べて電力消費量が少なく、かつ耐久性が圧倒的に優れている。従来赤色LED、黄色LEDは実用化されていたが、青色LEDは実用化が難しく、かつては20世紀中
の実用化は不可能、とまで言われていたが、中村修二教授は、日亜化学に努めていた間にその実用化を実現した。この青色LEDの実用化により、光の三原色がそろい、明るい白色の光を作り出すことができるようになり、白色電球に取って代わることのできる可能性がでてきた。将来的に白色電球に
とって代われば、青色LED市場は数兆円を超える規模となる可能性もある。
(2) 開発者に対する正当な報酬とは
今回の事件の被告であり、かつて中村修二教授の使用者であった日亜化学はこの青色LEDの開発以来、急激な成長を遂げている。1994年までは売上高200億に満たない中堅企業だった日亜化学は、1993年11月に青色LEDを世界で初めて実用化させると、急激に業績を伸ばし、2000年12月期の売上高は600億円台を突破し、2001年度には900億円を突破することが確実ということである。
青色LEDの開発は日亜化学にとって極めて重要な商品であるにもかかわらず、開発者の中村修二教授に対して十分な報酬は支払われていなかった。このように日本においては、従業員が大きな発明・開発を行ったとしても、十分な報酬が与えられないまま会社が特許を
はじめとする権利を取得してきた
。
今回の訴訟は、そのような日本の報酬制度に見直しを求めるという意味でも極めて重要なものである。
|